MEDIA SYSTEM

Presents Vol.33

弊社代表 安田のメールマガジン アーカイブです。

退社日

[自分の存在意義が、やる気を生む]

ホール業界ではスタッフの定着率の悪さ。つまり退社が大きな問題になっています。
一般には、1日に何回も重い箱を持ち運びする、その肉体的な辛さが理由とされていますが、
果たしてほんとうにそうなのでしょうか?

ホールスタッフの皆さんが、残念ながらあまりいきいきとは働いていない。
お店を回るとよく感じることです。
僕はそこに問題があるのではないかと考えています。

人材確保のために、ホール業界では他業界に比べても高水準の給与を払っています。
また、カードで球数を管理するシステムも開発され、これを導入して球運びがなくなれば人は集まるのでは。
そう考える向きもあるようです。
けれど、それらが人材問題の根本的な解決になるとは思えません。

僕はよくガソリンスタンドに訪れます。
そこで感心するのは、働くスタッフのモチベーションの高さです。
ガソリンスタンドは、ホールに比べて明らかに給与や待遇は劣ります。
また、季節を問わず、屋外での作業となります。
仕事内容はホール以上に過酷なはずです。

けれど、スタッフの一生懸命さが伝わってくるのです。
大きな挨拶やきびきびした動き、それがとても気持ちがいいのです。

なぜ、ガソリンスタンドのスタッフはいきいきとしていて、ホールはそうではないのか。
その理由はさまざまあると思いますが、僕が一番に思うのは、
働くひとりひとりが感じている存在意義の差、これではないでしょうか。

ガソリンスタンドのスタッフは、自分ひとりが責任を持ってお客さんを担当する。
常連さんがつけばそこにコミュニケーションも生まれるでしょう。
自分の裁量で商品の提案もできます。
それが自分という存在の重要感を増していく。
やらされるのではなく、自ら仕事に取り組んでいる。
その姿勢が伝わるから、サービスを受ける側も気持ちがいいのです。

一方でホールは、“やらせる”という発想が強いように思います。
スタッフは言われるがままに動くだけ。
それがつのると、結局この仕事は自分でなくても誰でもいいんだと感じ、
そこが自分の命を削る価値を有する場所だとは思えなくなります。

ディズニーランドではダンサーやその他のスタッフよりも、掃除をしている人の方が
地位も給与も上だという話を聞いたことがあります。
さすがにウォルト・ディズニーは物事の道理をわかっているなと感心させられました。
誰もが嫌がる仕事ほど、上層部がやって地位も給与も高いという点では、逆に理にかなっている。
実は売り上げの最大の功労者であるかも知れないスタッフのことをもの凄く真剣に考えているのです。

その場所に、自分自身の存在意義をどれだけ感じられるか。
その差こそがモチベーションの差を生み、ひいては人材レベルの差、
定着率の差を生んでいるのではないでしょうか。


[指示・命令をやめ、相談・アドバイスを]

では、どうしたらモチベーションがあがるのか。
それを考えてみたいと思います。

まず大前提として、モチベーションはそもそも入社時に満タンの状態のはずだ。
これが僕の持論です。
まったく働かず、家でただじっとしていたい。基本的にそんな人はいないはずです。

活動することで自らの存在意義を高め、輝いて生きる。
これは生命がもともと持っている最大のモチベーションのはずです。
けれど、それが周囲の環境によってどんどん奪われていく。
結局は時間つぶしのように適当に働くか、その場から退場することになる。

なぜこのようなことが起こるのか。何が人のモチベーションを奪うのか。
それは結局、ひとをロボットのように扱う態度に他なりません。
つまり、指示・命令です。
これによって手足を縛られると、当然ながら自己の重要感、存在意義はどんどんすり減っていきます。

モチベーションを奪わない。より高める。
そのためにはまず指示・命令をやめることです。
実際、メディアシステムでは指示・命令は極力しないと決め、それによって昨年、
あるサーベイで日本最高レベルのモチベーション値を出すことができました。
すなわち日本一のやる気会社の称号を頂いたのです。

ぼくはどんなに優秀な人でも、世の中全体の2~3割しか見えてないと思っています。
一部上場の大会社の社長でも、アメリカの大統領でも、なんであんなバカなことをするのだろう。
なぜこうしないのだろう。
そう思うことはたくさんあります。

人間は完全な存在ではありません。
絶対に自分が正しいなどと過信せず、どんな意見にも耳を傾ける。
会議も誰が正しいではなく、何が正しいかという論点で話をする。
その態度こそ、働く人間のやる気を生み出す源泉ではないでしょうか。

指示・命令をできるだけ少なくして、それを相談やアドバイスに代える。
相手に結論を押しつけない。共に考える。
これはマネジメントする側にとっては、今までと真逆の行為です。
実行するにはたいへんな勇気と努力がいります。

けれど、僕自身の経験からも、それこそがお互いにとって
最善の道だと確信しています。
最高のマネジメントとは、任して任せず。
自由を与え、いざというときにはしっかりサポートする。
そんな上司であれば、部下は必ずついていきます。
そして、やる気あふれる職場が育っていくはずです。
相談とアドバイスに重点をおき、決定は本人にゆだねる
という理想の会社へ、
そろそろシフトする時期にきているのではないでしょうか。