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Presents Vol.28

弊社代表 安田のメールマガジン アーカイブです。

自己矛盾

ある行為がしたい。
でも、それをすれば他人に迷惑をかけたり、自分にマイナスとなる。
ダメだとわかっている。けれど、やっぱりしたい……。

こんなふうに悩んだりすることが日常の中ではよくあります。
痩せたいけれど食べたい、寝ていたいけれど遅刻したくない。
言ってみれば、これは矛盾の狭間で揺れ動く心。
じつは悩みの大半は、自己矛盾ではないかと僕は思っています。

僕自身、かつて社長業についての自己矛盾を抱えていました。

なぜ社長をしているのか。
そう問われれば、私利私欲がまったくゼロだとは言いません。
高い地位・名誉・収入が得られるのは事実です。
でも、そのためだけならこんなにつらい仕事は正直、したくない。
高いモチベーションも維持できないのです。
元来、僕は面倒くさがりなので、
自分のためだけなら家で寝ているほうがよっぽどいい。
けれど、社長業のやりがいにもやはり強く惹かれるのです。

これは僕にとってまさしく自己矛盾でした。
当然、そんな精神状態では全力で仕事に当たれません。
解決するためには、できるだけ矛盾のない、
整合性の高い答えを見つけ出すほかありませんでした。

その整合性は、高ければ高いほど、経営をしていくための強い理由となります。

懸命に考えた末、
僕が出した結論は「社員全員を自分以上にする」でした。
ビジネス能力も生活レベルも何もかも、いまの僕以上にし、
豊かな人生を送ってもらいたい。

そのために僕が仕事を始めてから20年以上かけて身につけたものを、
まず直属の幹部には10年で教え込む。
育った幹部はさらに自分の部下にこんどは7~8年で教え込む。
そうやって少しずつ期間を縮めながら、
究極的には全社員を僕以上の会社にして、
みんなに幸せになってもらう。

そう思えば自分一人のためだけという私利私欲では到底できないことも、
矛盾なく精一杯がんばることができるし、社員にきついことも言えます。
それが僕にとって会社を経営する最大のモチベーションとなりました。

相手を自分以上の存在にする。
この考えにもとづいたコミュニケーションは、深い信頼関係を生みます。
上司は部下を思い、部下は上司を敬う。
言ってみれば師弟関係でつながった組織となり、経営も上手くいくのです。

現在、道半ばですが1期生が約5年で営業マネージャーとして
多くのスタッフを統率・管理するまでに成長しています。
彼らも最初はマネジメントするなかで、多くの矛盾に悩まされていました。
自分が正しいと思っている考えがスタッフに賛同を得られなかったからです。
しかし、彼らは皆が賛同しない理由や不満の原因を知るために、
スタッフ達を否定することなくニュートラルな視点で対話をするようにしていったのです。

そのとき最も大事なことは、「誰が正しいのかではなく、何が正しいのか」を見極める
ことです。

そして、偏った考えに気づいた場合、自己否定を辞さないことです。
これによって、当初の偏った考えに固執することなく、
彼らとスタッフ達の考え、想いの整合性を高めることができ、
物事をうまく解決できるようになりました。
今では世の中のことをニュートラルに捉えることができるようになり、
スタッフと議論を交わして皆にとってより良いマネジメントができるようになったのです。

多くの場合、悩みの根幹は矛盾である。
その中にいては100%の力を出せるわけがありません。
自己実現することなど到底むずかしいと思います。
そうであるならば、矛盾をなくす整合性の高い答えを見つけることこそが、
その解決法に他なりません。

むずかしい挑戦ですが、
真剣に自分の中の矛盾と向き合ってみれば、
それを打開する答えは必ず見つかるはずです。
そうやって答えに向かって邁進できるとき、
本当の強さと、多くの人の尊敬や感謝を
得られるのではないでしょうか。
僕は、そんなふうに思っています。