MEDIA SYSTEM

Presents Vol.19

弊社代表 安田のメールマガジン アーカイブです。

ネイチャーサイエンス -前編-

[欲求が人生を決める]

僕の友人の中学生の子どもが、あるとき突然、
勉強なんて大嫌いだと言い出したことがありました。

それまでは勉強好きで成績もよかったのですが、
そう言い出したとたん、成績はどんどん下降線へ。
勉強の好き嫌いと成績は明らかに因果関係があることに気づいたと言います。

成績が下がると、彼の奥さんは心配して、子どもに勉強を強制しました。
しかし、勉強が嫌いだという子どもが、勉強しろと頭ごなしに言われてするはずもありません。
子どもが勉強を好きになる環境を作ってやろう。
遊びたいと言ったら、まずは自由に遊ばせよう。
そんなふうに友人が言っても、勉強が好きな子などいないと言って、奥さんは納得しません。
もちろん、どちらも子どもを思う気持ちは同じなのですが、アプローチが違う。
大げんかをしたそうです。

こんな点数じゃ、遊ばせない。
そんなふうに罰を与えるやり方は、なにも子どもの勉強に限った話ではありません。
罪と罰の発想は、大人の仕事の世界でも同様です。
けれど、仕事で成功した多くの人は、「その仕事が好きだから」と答えます。
結局は自分から好きになり、欲するのでなければ、何事もよい結果には結びつかないのです。

メディアシステムは、
社員に仕事と会社を好きになってもらうことを一番の目標に掲げています。
もしも、友人の子どものクラス全員が勉強好きなら、
平均点は他より圧倒的に高くなるでしょう。
経営においても、社員がみんな仕事を好きになってくれれば、
どんなライバルにも負けないはずです。

社員に会社のファンになってもらいたい。
僕はその思いから、
「ロイヤリティ世界一」を目指して、さまざまな試みを続けてきました。
そして先般、“会社” “仕事” “上司への信頼” “職場”について
100項目強の質問から重要度と満足度を測るモチベーションテストで、
トップクラスのAランクの結果を得ることもできました。

こうした事実をふり返ると、
人間は欲求によってすべての行動を決定づけられている。
最近、そのことを強く思うようになっています。

たとえば僕が経営者として、社員のモチベーションを欲し、実際にそれを得たように、
その人が何を強く欲するかで、その人の人生が決まるのではないでしょうか。

もちろん、欲求にはさまざまなものがあります。
仕事で成功したいという欲求もあれば、家庭を大切にしたいという欲求もあります。
また、人の役に立ちたいという善の欲求もあれば、
犯罪をしてでも得をしたいという悪の欲求もあります。

すなわち、欲求はひとつではなく、日々その優先順位さえ変わります。
だからこそ、自分の中にしっかりした価値基準を据え、
たくさんの欲求を中長期的にうまくコントロールしていくことが大切なのではないでしょうか。


[ビジネスとは欲求を満たすこと]

自分の欲求に対して意識的になる。
そうすることで、周囲の欲求に対しても敏感になれます。
これはビジネスを成功させる大きな要因です。

メディアシステムとお付き合いの深いホール業界で、
お客様がどんな欲求をもって来店されるか、社内で議論したことがあります。

「遊びたい」「祭り感を味わいたい」「儲けたい」「ひとりになりたい」・・。
全部で32ものワードがでました。
しかも、「祭り感を味わいたい」と「ひとりになりたい」という
真逆の欲求がそこに含まれるなど、極めて複雑多岐なものでした。

こうした欲求にいかに応えるか。
それがすなわちビジネスの成功を意味しますが、
実際に成功している方々に聞いても、
普遍的なたったひとつの答えなど出てきません。
また、それぞれの答えがたとえ今現在において正しくても、
世の中が変わればまた違う答えが必要になります。

人が何を求めているか。
それをしっかり汲みとり、分析を行い、
最大公約数を満足させる製品とサービスを常に提供し続ける。
結局のところ、成功の秘訣とはそれに尽きるのではないでしょうか。

携帯にテレビリモコンが付いても売れないし、
お米屋さんにアルマーニのスーツがあっても誰も買いません。
電話機に電卓機能が付いても売れないでしょう。
少々極端な例かもしれませんが、こうした欲求の見誤りこそ、
失敗の原因なのです。

欲求への敏感度。
それこそがビジネスの行方を左右すると考えます。


[なぜ、人は遊びを欲求するのか]

欲求とそれを満たすことの重要性をこれまで述べてきましたが、
では、なぜ人はそもそも欲求不満のままで生きていけないのか。
そのことについて考えてみたいと思います。

僕自身、欲求とは身体から発される危険信号ではないかと考えています。
つまり、そのままの状態では、
不満やストレスが高まり、精神や肉体にダメージが起こる。
だから脳が欲求を起こさせ、その通りに行動することで、
ご褒美としてドーパミンという快楽物質が放出されるのだと思います。

では、人はホールに行ったり、旅行に行ったり、テレビや映画を鑑賞したり、遊びを欲求します。
これは何に対する危険信号なのでしょうか。

たとえば右手を5年間も石膏で固めたとします。
その石膏を外したとき、どうなっているでしょうか?
右手は思うようには動かないはずです。
つまり、使わないことで右手は退化してしまう。
これは、実は脳にも同じことが言えるのだと思います。

私たちの生活は、ほとんどの場合、
決まった日常を生き、同じ作業や思考を繰り返します。
そのため脳にも未使用領域が多く存在することになります。
それをそのままにしておくと、動かさない右手のように退化してしまう。
その危険信号が、遊びへの欲求なのではないでしょうか。

遊びにより非日常の刺激を与えることで、脳のリハビリテーションをする。
すなわち、遊びとは脳の健康欲求なのです。

メディアシステムはホール業界とお仕事をさせてもらう機会が多くあります。
パチンコはこれまで負の側面ばかりがクローズアップされてきましたが、
こうした健康欲求を充足させるという正の側面を、
もっと社会にアピールするべきではないでしょうか。
日本は極めて凶悪犯罪の少ない国です。
ホールに行くことで人びとのストレスが緩和し、それが犯罪抑制に寄与している。
僕はそこまで考えているのですが、
そうした視点で真面目にホールの役割を分析し、きちんと世の中に発信していくことは、
業界の健全化にも大いに役立つはずです。

遊びとは、脳の健康欲求である。
たとえばこの視点をもとにすると、
ビジネスにも新たな展望が開けてくるはずです。
そんなふうに、さまざまな行動の背景にある
欲求について考えてみる。
そうすることで、人生はより実り多きものに
なるのではないでしょうか。