[ブランドに人が惹かれる理由]
[ブランディングが目指すゴールとは?]
ブランディングで注意したいのが、
その取り組みそのものが目指すゴールではないという点です。
ブランディングとは、あくまで手法にすぎません。
では、そのゴールとは何か。
それは、ファン化です。
たとえばホール業界であれば、
お店をひいきにしてくれるお客様が数多くいることです。
もちろん、いつも足を運んでくれるお客様はいるでしょう。
けれど、それはお店のファンではなく、
パチンコファン、または特定の人気台のファンではないでしょうか。
過度なイベントや新台入れ替えをせずとも、熱心にお店に来てくれる。
つまり、お店そのもののファンになってくれる。
そんなお客様を作ることには、まだどのお店も成功していないと言っていいでしょう。
だからこそ、いち早くブランディングを手がければ、
大きな成功を収めることができるのです。
もちろん、ブランディングにはデメリットもあります。
なにより、その構築には多くの時間とお金がかかります。
たとえば店舗デザインや制服の改良、店内清掃の徹底、スタッフのサービス力向上など、
運営のあらゆる部分を見直す必要があります。
しかも、それを長く継続していかなくてはなりません。
しかし、もしブランディングに成功し、
お客様にお店のファンになっていただければ、
これほど心強いことはありません。
ファンとは、英語のファナティックに由来する言葉です。
ファナティックは熱狂的という意味。
まさにその心理を言い当てています。
阪神ファンが明日、突然に巨人ファンとなる可能性は皆無でしょう。
では1年後は? これもまずあり得ません。
つまり、ファンとは熱狂的に支持してくれる存在。
しかも長期的に渡って強固な関係を結ぶことができるのです。
そう考えると、ライバルに左右されないファンを作るブランディングとは、
たとえ時間とお金がかかっても、
デメリットをはるかにしのぐほどのメリットを持っていると言えるはずです。
[本気と正しさの貫きこそがプレゼンス]
長い時間をかけてブランディングするとき、極めて重要なポイントがあります。
たとえばベンツやルイ・ヴィトンはファンがいるからこそ、
あれほど高価でも売れています。
では、他のクルマやバッグに比べて、
圧倒的に機能性やデザイン性が優れているのかといえば、
そうとも言い切れません。
つまり、商品そのもののプレゼンスによって売れているわけではないのです。
では、人は何のプレゼンスに惹かれているのか。
それは、その商品に込められた本気や正しさであり、
しかもそれがずっと貫かれているという事実です。
たとえば、モノ作りへの真摯な姿勢。
企業市民としての社会貢献。
そんな法人としての人格にこそ人は惹かれ、ファンとなるのです。
本気と正しさを貫く。
企業ブランディングの究極とは、僕はここにあるのだと思っています。
そのためには、まず正しい企業理念を確立し、
その実現に本気で取り組み続けることが求められます。
これには当然、働くスタッフひとりひとりが理念に共感していなくてはなりません。
つまり、スタッフが会社のファンとならなくてはなりません。
考えてみれば、自社を嫌うスタッフがいる会社を、
お客様が好きになってくれるはずなどないのです。
スタッフをファンにする。
お客様をファンにする。
ブランディングの行き着くところは、人の幸せです。
そして、その実現のカギはやはり人材にあるのだと僕は考えています。
ブランディングを見据えた採用や教育が、
今後よりいっそう重要になっていくはずです。
新しい時代の戦い方、
ブランディングはまだ始まったばかりです。
完全な勝者はいません。
だからこそ、先駆者としての第一歩をいち早く踏み出す。
企業にはいま、その勇気が求められているのではないでしょうか。