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Presents Vol.23

弊社代表 安田のメールマガジン アーカイブです。

変化 -前編-

[変化(成長)への思い違い]

多くの経営者が社員に感じている不満。
それは、自分と比べたときに、
変化(成長)のスピードがあまりに遅すぎることではないでしょうか。
1年前といまを比べても代わり映えがしない。
目に見えるような成長がほとんどない。

僕自身、経営者としてずっとそれを感じていました。
もっと変化のスピードを速めたほうが
本人にとっても当然よいはずなのですが、
なかなかその自覚が生まれません。

これはいったい、なぜなのか。
先日、多くの社員と面談をして、
その理由がはっきりとわかりました。

それは、変化(成長)に対する思い違いでした。

社員と話をしてみると、皆、将来について輝くような夢を語ります。
大きな仕事がしたい。高い収入や地位を得たい。
そして、そこに到達するためには、多くの努力を重ねて
自分が変化(成長)しなくてはならないことも理解していました。

しかし、その変化(成長)に対する考え方があまりにお粗末なのです。
隣のライバルよりちょっといい成績を挙げる。
平均よりもほんの少しベターを目指す。
そんな角度がわずか1度くらいの変化の延長線上に、
大きな変化(成長)が訪れる。つまり夢が実現する。
そんなふうに思いこんでいたのです。

誰もが夢見るようなことを成し遂げるには、
1度の変化では到底足りません。
5度や10度の急角度で突き進む。
そうすることではじめて大きな変化(成長)が生まれ、
夢を実現することもできるのです。

実際、僕自身がそうやって生きてきました。
僕にとってのベターとは、平均より上ではなくベストより上。
つまり、ホームランの中でもいちばん大きなホームランを打つことでした。

この意識の差は決定的でした。
僕の考えを言うと、
社員からは「そこまでやるんですか」と驚かれました。
しかし、変化とは「化けるほどに変わる」と書きます。
つまり、そのくらいの意識がなければ、
自分を変えることなどできないのです。

[客観視できなければ変化(成長)はない]

これまでの努力とはまったく違う次元の取り組みをしてはじめて訪れる。
変化(成長)とは、それほどに難しいものです。



これは僕が考えた変化(成長)の公式です。
変化とは、まず反省からはじまり、その結果、どれだけ改善できたか。
つまり、反省分の改善が変化といえるのではないでしょうか。
さらにいえば、反省以上の改善はないのです。

しかし、ほとんどの人は、たとえ反省を10したとしても、
その1さえも改善することができません。
お酒の飲みすぎを反省しても、結局はまた飲みすぎてしまう・・
心当たりのある人も多いはずです。
変化(成長)とは、そう簡単には訪れてはくれません。

もっとも、変化の下地となる反省がそもそもできない――
これも多くの人が実感していることではないでしょうか。
その反省とは、こんなふうに公式化できます。



どんな行為にも、必ず功と罪があります。
圧倒的に悪いと非難される行為にも、
ほんのわずかな功があるものです。
しかし、反省できない人は自らの行為のうち、
功ばかりを大きく取り上げ、罪の部分にふたをします。
「でも~」という言い訳です。
お酒を飲みすぎた、でも楽しかった、というわけです。
これではいつまでたっても反省に至りません。

反省とは、自らの行為の功と罪を明らかにし、
いかに罪に目を向けたかで決まります。
一見、非の打ち所のない行為にも、
改善すべき点はあるはずです。
反省できる人は、その改善点をきちんと見つめるのです。

ただし、この功と罪を分析するとき、なくてはならない視点があります。



自分の行為に対する功と罪を考えるとき、
知らず知らずに入り込んでしまうものが主観です。
「自分としては上手くできた」「このくらいだったら許されるだろう」……。
こうした主観=自己肯定は、反省を遠ざけてしまいます。
反省のためにはつねに自分を客観視して、
自己否定をすることが必要なのです。

[客観視できないことは有害]

たとえば二人がケンカをしている状況を想像してみてください。
当人たちは相手を憎み、傷つけ合います。
けれど、当人同士だけが真剣を振りかざして闘っているつもりでも、
じつは周りの人間まで傷つけていることがよくあります。
怒りの中では、そのことになかなか気づけません。

そうした状況でも冷静になって自分を客観視する。
功と罪を見つめ、反省をしていく。
それが必要なのです。

ケンカの功とは、相手の間違いを訂正してあげることだといえます。
一方、罪は相手を傷つけ、周囲にまで悲しみや苦痛を与えることです。
さらに、今後、周囲から敬遠されてしまうことも大きな罪です。

そう考えていくと、自らを客観視できないことがどれほど有害か、
お分かりいただけるのではないでしょうか。
当人たちの反省がなければ、
いずれそれは「孤立」という形ではね返ってくるのです。

多くの人は反省や改善を嫌がります。
変化を避けて生きていくのであれば、それもいいでしょう。
しかし、理想や、より高きを目指しているならば、
変化と無縁ではいられないはずです。

誰かに認めて欲しいと望むならば、
変化に対して前向きに取り組むべきです。
そうすることで、求める自分になることができ、
周りから信頼や賞賛を得られることになります。

今回は、変化(成長)がいかにむずかしいものか。
また、どうしたら変化(成長)できるのか。
概念化することで理解が深まるのではないかと思い、
不備ではあっても公式に落とし込んで考えてみました。
次回、さらに変化(成長)を妨げるもの・促すものとして、
顕在意識と潜在意識の関係に迫ってみたいと思います。