MEDIA SYSTEM

Presents Vol.04

弊社代表 安田のメールマガジン アーカイブです。

新卒採用

[経営者として唯一していなかったこと]

もうだめだ、もうつぶれる。
会社を立ち上げてから何度そう思ったことでしょうか。
設立以来、6年連続の赤字。負債は1億以上。
どうせ沈む船と社員はどんどん辞めていく。
当時、誰が見てもメディアシステムはつぶれる会社でした。

まさにどん底の状態。
もがき、あえぎ、やれることは何でもやりました。
でも、そんな僕が経営者として唯一していなかったこと。
それが新卒採用でした。

教えている暇がない。育つまで待てない。
これが新卒に対しての、ほとんどの経営者の反応です。
僕もそうでした。
明日の売上げを作れる人材を採ろうと、
中途採用ばかりを繰り返していました。
当時、会社にあった履歴書は電話帳並みの厚さ。
かけた費用は数千万。採用人数も100人はくだりません。
しかし、それでも良い人材は採れませんでした。

そんなとき、採用コンサルティング会社から新卒採用の提案を受けました。
「優秀な新卒なら3年で会社を引っ張る」。
もちろんにわかには信じられませんでした。
しかし経営者として唯一やり残したこともまた、新卒採用だったのです。
未来ある若者の人生を預かる、その重さに悩み抜きました。
しかし最後には、彼らが一人前になるまで、
自分はたとえ泥水をすすってでも耐えよう。
そう覚悟を決めました。

生まれて初めての会社説明会。
80名を超える学生が集まりました。
しかも皆、東大、横浜国立、中央といったそうそうたる有名大学の学生たちです。
恥ずかしい話ですが、緊張のあまり僕のひざはガクガクと震えていました。
自慢できることは何もありません。
僕ができる唯一のことは、夢を一生懸命に語ることだけです。
そして幸いにも、
その夢に共感してくれた7名を新卒1期生として採用することができました。
当時のあの状況で有名大学の学生が実際に採れたことは、
嬉しい驚きであると同時に、ほんとうに身の引き締まる思いでした。


[“期を待てば”、人は応えてくれる]

3年かけて一人前にする。
それまで歯を食いしばって耐え抜こう。
これが当時、自分に言い聞かせていた言葉です。
しかし、その考えはわずか2週間であっけなく崩れ去りました。
社内研修を終えたばかりの新卒社員が、
何と初日から7件ものアポイントを取りつけ、
しかもお客様の前で堂々と商品説明を始めたのです。

いったいこれは何なんだ?
僕は大きな衝撃を受けました。
あれだけ社会経験を積んだ中途にできなかったことを、
二十歳そこそこの若者がしているじゃないか。
目の前のお客様ではなく、
隣にいる新卒社員を、僕はあっけにとられて眺めていました。

その年、会社の売上げは実に前年比370%。
3年耐えるつもりが、1年目で信じられないほどの成果を出したのです。

新卒採用によって教えられたこと、気づかされたことは山ほどあります。
何より大きかったのは、
期待することの真の意味を知らされたことです。
期待という言葉は「期を待つ」と書きます。
それまで中途人材を相手にしていた僕は、待つことができなかった。
借金地獄から早く抜け出したい、その焦りから部下を叱責し、
自分も相手も不快にし、やがて関係を破綻させる。
そんなことを繰り返していました。

しかし、そもそも就職経験がない新卒はできなくて当たり前。
待つしかありません。
新卒を採ることで、僕は生まれて初めて待つことができた。
「ドンマイ」と言えたのです。
そして、できない前提の彼らができたときは、
それはもう嬉しくて精一杯ほめます。
そうしていると、会社の雰囲気までどんどんよくなっていったのです。
“期を待つ”。
ただそれだけのことで、こんなにも人は応えてくれる。
こんなにも会社は変わる。
僕にとってはそれは驚きの連続でした。

ルールで縛らない。押しつけない。自由にやらせる。
そうやって“期を待てば”、新卒社員は一生懸命に仕事に取り組みます。
それはたしかに、初めて社会人となった、
新卒ならではの高いモチベーションも理由でしょう。

しかし、本来は新卒に限らず、誰にでもモチベーションはあるはずです。
成績をあげたくない、お客さんに好かれたくない、誰にも尊敬されたくない。
果たしてそんな人がいるでしょうか。
誰もが自分らしく生きたい。輝きたいのです。
その想いを、かつての僕のような経営者が削っているだけのことなのです。

両足を縛られたロナウジーニョとサッカーで対決したら、
経験のない僕でも勝てるでしょう。
無用なルールを作らず、自由にプレイさせる。
それが本人にとっても組織にとっても、
実は最良の結果をもたらしてくれるのではないでしょうか。

また、新卒とはまっさらな状態でやってきて、
経営者と価値観を共有し合える存在です。
そこには中途採用では決して得られない、
高いロイヤリティがあります。
そんな彼らと働く喜びを共有する。
その状態にこそ、ほんとうの幸せがあると感じています。
それはもちろん、経営者がひとりで作り出せるものではありません。

おかげさまで、メディアシステムは現在、
5期連続で売上げを伸ばしています。
今期の売上げ高は、新卒採用を始める前の
実に12倍にまでなりました。
まさに新卒採用が僕を変え、会社を変え、
働くほんとうの喜びまで運んできてくれたのです。
かつての僕のように悩んでいる多くの経営者の方々に、
もっとこの感動をお伝えしたい――
僕はいま、本気でそう考えています。
メディアシステムが実際に経験し、培ったノウハウ。
これをもとに、近い将来、採用支援事業という形で
その感動を皆さまにお届けしたいと思っています。
どうぞご期待ください。